本日からここでブログを始めます。
これまで、ウェブで日記的なものをやっていたこともありますが、その意義についてはあまり深く考えていませんでした。
そもそも、情報発信してみても、大海にバケツで水を流し込むようなイメージで、海からの反応が実感できませんでした。
あるいは、悪意をもったユーザの存在という漠然とした不安感もありました。
その点、SNSの方が安心感があり、読者のリアクションを実感できるので、書き込むモチペーションを維持しやすいのですが、閉じた社会ゆえに、何となく閉塞感があり、情報発信の影響力は限定的です。
最近、梅田氏の「ウェブ進化論」を読み大きく考え方を変えました。
ネットの「あちら側」の価値を、あるいはあえて「オープン」にすることの意義を、理解することができました。
実際、この概念が、「こちら側」の“わたし”にとって意味のあることか、やってみなければわかりませんが、まずは始めてみたいと思います。
「新しいもの好き」の“わたし”なので、まずは使ってみる。
しかも使用可能な機能のすべてを徹底的に。
Web 2.0がどれだけ“わたし”の実生活にインパクトを与えるものなのか考えたい。
「ウェブ進化論」を読んで感じたことは、医療はまさに long-tail なサービスだということです。
ある医師がどんなに優れていても、治療できる患者の数には限りがあります。
評判のいい外科医のところには、当然患者が集まります。
でも、どんなに患者が集まっても、手術できる数には限りがあります。
週に4件のmajor surgeryをしたとして、年間に200件、外科医の生涯を30年とすると、5000件です。
もっと頑張ったとしても、せいぜい1万件でしょう。
マスを対象に商品やサービスを提供する分野とはだいぶ違うようです。
しかも、名医というのは、誰にとっても名医ではない、という現実があります。
もちろん医師の専門分野と患者さんの疾患の組み合わせもありますし、基本的に人間対人間の関わりが大きく関与するので、性格的な問題も無視できません。
たとえば、病気のことを簡潔にはっきりと言ってほしい人、オブラートに包んでやわらかく言ってほしい人など、求めるものは人それぞれです。
当然、地理的な問題も重要です。
多数にとっても名医よりも、自分にとっての名医が重要であることは言うまでもありません。
そこのマッチングをするのは、容易ではないでしょう。
少なくとも、現在のテクノロジーとコンテンツでは実現できないでしょう。
そこで、web 2.0に期待がかかります。
医師の評判をオープンにすれば、恐らく批判が続出するでしょう。
玉石混交の情報の「石」の存在が、医師の権威を下げうることもあるでしょう。
しかし、病気を治したい自分が、「玉」の情報を求めるという欲求はとても大きいので、すなわちニーズがあるので、この分野は今後拡大することは容易に想像がつきます。
レストランの評判を集めたサイト(たとえば、東京レストランガイド http://www.asku.com/rgj/tokyo/)は、私自身もよく利用しますが、とても有用な情報源と言えましょう。
もちろん、何の権威もない感想が書き込まれていて、バイアスも入っていることは承知の上で、店選びの重要な情報となっています。
その評判を読んでいて感じることは、ある人にとっていい店でも、他の人にはまったく異なる評価があるということです。
味を重視するひと、雰囲気にこだわる人、サービスを細かくチェックする人など、さまざまなわけです。
医療でも同じことが言えるでしょう。
もちろん、命に関わることでもあり、レストランと同列には扱えないとは思いますが、「あちら側」にある医師の情報を整理して提示することは、患者さんにとって有益であることは間違いないでしょうし、今後、その空間が拡大することは間違いないでしょう。
であれば、その大海にバケツで水を流し込む意義があることは確実でしょう。
なぜなら、そのバケツ1杯の水を汲み出す患者さんが、どこかにいるはずで、それをつなぐテクノロジーが進歩してきているのだから